ワークルール労働者教育出前授業
(1)サポートユニオンwithYOU報告と深めたい労働(者)教育
・大阪北部(高槻・茨木)の高等学校で5年ほど前からとりくんできた「ワークルール出前授業」について、参加された20名近い各ユニオンから質問や意見をいただきながら、それぞれユニオンがとりくんでいる組織内の憲法、労働基準法などの学習会の報告のあわせて行いました。
・なぜ、若い世代や新しい組合員への労働(者)教育が必要なのかを共通認識し、地域や組合で広がることを確認しあいました。
(2)出前授業、「ワークルール」から「労働者教育」へ
・2020年ごろから、ユニオン運動の拠点である茨木高槻の高等学校で出前授業にとりくみはじめ、現在(2024年)は普通課程高校3校、定時制高校1校、工科高校1、大阪市内高校1、兵庫県私立大学1に広がってきています。
・当初、ある大阪北部の総合課程の高等学校から「ワークルール」についての出前授業の依頼が大阪市内にあるNPO法人労働と人権サポートセンターにあり、茨木市内の当ユニオンが実施することになりました。「ワークルール」で労働基準法、高校生のアルバイトでの悩みに対応することを学習の中心にしてきましたが、働くことの悩みなどはネットで検索し知ることが安易になったことから、「非正規労働者のこと」「過労死過労自死のこと」「アルバイトから学ぶこと苦しんでいること」「過労自死寸前にまで追い込まれたユニオンの若いスタッフの話」などに学習の中心をスライドさせました。最近一年は「8時間労働は与えられた権利ではなく、労働者とその階級による血と汗の結実であること」も教えています。
・ある高等学校の生徒の感想の中で「資本家と労働者が社会構造で明確に区別されており、この労働者に資本家などと同等の権利を与えるべきであるかといえば違うと思います。主となる資本家が優遇されるというのは当然の摂理であり、それを拒むのならそれに相応する努力をなさねばならないと感じます。」を受けて、ユニオンは、「あなたが社会で働くこと(存在すること)」で 「誰かを助ける」ことができる。努力することが叶わない人を助けることができる。社会をひっぱる存在になる君たちだからこそ、そんなことに思いを馳せることができる存在になってほしいと授業で伝えることにしています。そういう視点から女性で初めて戦前に弁護士になった三淵嘉子さんを描いた『虎に翼』の一コマで、「すべての虐げられた人々のためにともに頑張りぬく」ことも動画で観せるようにしています。
(3)話し会い確認したこと
・「出前授業」で担当の先生が異動されると途絶えてしまうことがあるが、人権教育として位置づけてもらうことにより関係を続けることができることを確認。
・「出前授業」をはじめるために、過労死等防止対策推進法では啓発教育の必要性を求めていることから、学校教育で「過労死防止、安全と衛生を守るための働くルール」をすすめるべきだと行政に要求し、その立場から学校への要請を行うことが実施のポイントであることを確認。
・中学生が行う「職場体験」は長い地域では1週間行くこともあるが、言葉遣いや電話応対といったビジネスマナーは学習する一方で、ワークルールの学習は全くといっていいほど行われていない。義務教育でワークルールの出前授業を行うことは不可能なのか。
・水産事業にフィリピンの外国人労働者が雇われ、雇用契約書が日本語で書かれていることから、労災申請など労働組合が多言語でサービス提供すること、労働組合として日本語教育を行うことでより深い関係をつくりだすことの大切さを確認。
・学校教育で労働教育がされていない会社でもやらない中で、労働組合が新しい組合員に「争議ケース学習」「労働基準法学習」が一層重要だと確認。
・タイミー、シェアフル、メルカリハロといったいわゆる「すき間バイト」によりかつての日雇い派遣が形を変えて事実上復活している。その頃にも問題になっていたような、作業工程が予定より早く終わったことによって退勤させられ、以降の賃金が発生しない等といった実態が再び問題になっている。空いた時間が活かせるからといってこういったすき間バイトによって泣きを見る若者が増えてきている実態について調査が必要ではないか。
(4)今後のこと
・「出前授業」で交流できた生徒や学生と、「働くことで困ったことをどう改善すればよいのか」「若い子たちが働くことをどのように感じているのか」などをより深めていくための地域的なとりくみに着手しそのための企画を若者たちとともにすすめていきたい。
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